コンパクトな街に息づく「人の温かさ」

早出 一真

岡谷市長

岡谷市横川区出身。下諏訪向陽高校卒業。平成27年~令和5年まで2期8年岡谷市議会議員を務めた後、令和5年9月より岡谷市長着任。幼少期より野球をしており、現在も社会人野球チームに所属する。捕手一筋45年。

野球少年から市長に

生まれも育ちも岡谷市横川区の早出一真(そうで かずま)市長。「実はね、幼少期は学年で一番のぽっちゃり体型で、周りから『相撲取りになれ』とからかわれることもあったんだよね」と笑って話す。「運動をさせなければ」と考える親に勧められて小学4年生から少年野球を始めた。捕手一筋で今もシニアチームに所属するほどの野球好きだ。

幼少期の自身の性格は「几帳面だった」と評する。積極的に人前に出るようなタイプではなかったが、思い起こせば、学校で班長やルーム長などを任されるなど、中心的な役割を担ってきた。持ち前の面倒見の良さと、周囲から頼られるリーダー気質。それは、現在の市長としての姿に確かに重なっている。

「できることが限られている」という歯がゆさ

政治の道を志した原点は、地域活動とPTA会長としての経験にあった。平成22年、地域の中心となって御柱祭をやり遂げた翌年、中学校のPTA会長を引き受けた。その際、学校でのトラブル解決に向けて奔走したが、いち保護者の立場ではできることに限界があった。

「どうしたらいいのかと考えた時、議員になるのが良いのかなと思った」——市長は当時をそう振り返る。「この街を変えたい」という強い使命感と、「本当に人に恵まれている」と語る謙虚さ。その実直な思いが、彼を市政へと押し上げた。

仕事が趣味

「僕はね、正直言うとね、あんまり休み要らないんだよね。仕事が趣味みたいなものでね」と話す。市長就任前は年に360日は働く、そんな仕事人間だった。市長となった今でも朝は4時過ぎには起き、新聞を読む時間を欠かさない。たまの休みにも、役所の資料整理をしてしまうという。

一方、二人の娘を持つ父親としての素顔も持つ。「娘にさ、朝いきなりタイヤを替えろと言われてもパッとやっちゃうね」と笑う。手先の器用さには自信があり、「もし何かあっても一人で生きていけるんじゃないかな」と語る。その持ち前の器用さとタフさは、市政という複雑な舵取りにも活きているのかもしれない。

言葉の裏にある温かさ

岡谷の魅力は「人」にあると話す。外から来た人には、言葉遣いが少し冷たく感じられることもあるが、「でもね、実際はすごいあったかい人が多いんだよね」と市長は語る。

かつてシルク文化で栄えた歴史からか、まちに対して誇りを持つ市民が多い。一見ぶっきらぼうに見えても、少し付き合いを深めればその人情味に気づくはずだ。移住者も一緒になってお祭りを楽しむなど、実はとても“ウェルカム”な風土が、この街にはしっかりと根付いている。

すべてがこの市街地に揃っている

「塩嶺峠を越えて景色が見えると、ああ岡谷に帰ってきたなと思う」。市長が愛するこの街は、中心市街地に病院や商業施設がコンパクトにまとまり、周囲を豊かな自然が囲む。夏は湿度が低く涼しく、冬は雪が少ない。「とにかく住みやすい」と胸を張る。

これからのまちづくりで、さらに街を便利にしていきたいと意気込む。行きつけの居酒屋で、おばあちゃんが出してくれるビールとかりんとうを楽しむ時間が好きだと話す気さくなこのまちのトップは、今日も岡谷市の未来を真っ直ぐに見据えている。