岡谷市湊「小坂観音院 由布姫あじさい祭り」~地域で守り育む800株の紫陽花と歴史の物語~

岡谷市湊「小坂観音院 由布姫あじさい祭り」~地域で守り育む800株の紫陽花と歴史の物語~

2026年6月21日から7月19日まで、岡谷市湊の小坂公園で、「由布姫あじさい祭り」が開催されます。諏訪湖を望む高台に咲き誇るその数はなんと800株!武田信玄の側室・由布姫(湖衣姫)ゆかりの地として知られるこの場所は、岡谷市の美しい風景と色鮮やかな紫陽花を同時に楽しめる、隠れた名所です。

あじさい公園の管理は、小坂区の皆さんが担っています。今回は、その管理をされている小坂区の味澤さんにお話を伺い、祭りの裏側にある歴史と、地域の人々の深い愛情に迫りました。

開催概要

【名称】小坂観音院 由布姫あじさい祭り

【期間】2026年6月21日(日)〜7月19日(日)

【場所】小坂公園(小坂観音院隣接)長野県岡谷市湊4-15-22

【見どころ】約800株の紫陽花と諏訪湖を望む絶景

【本祭り】7月19日(日)9:30~13:00には、キッチンカーや地元飲食店が出店するほか、地域の文化団体によるパフォーマンスなども予定されています。

【アクセス】諏訪湖SICから車で3分。

【駐車場】公園下に専用駐車場有。臨時駐車場は小坂公民館横(公園入口階段まで徒歩約6分)

俳句から始まったあじさい祭り

「一昨年はだいぶ綺麗だったんですよ、俺が委員長で最終年の時ね。しっかり咲いてましたね。去年はちょっとね…。今年はどうですかね」と、今年の開花状況を気にする味澤さん。

あじさい祭りの始まりは「俳句」だったそうです。

Q: あじさい祭りは、いつ頃から始まったのですか?

味澤さん: 「2007年の大河ドラマ風林火山の時からですね。そう、最初の方は、俳句をしてたんですよ。(掲示板を指さしながら)昔はここに俳句が掲示されててね。1回目、2回目は俳句をやってたんです。その時は先生を呼んで、賞を選んで、賞金も出してたんですよ。」

紫陽花公園にちなんだ俳句を募集する形から始まり、現在の「由布姫あじさい祭り」の形式になったのは3回目以降とのこと。時代の流れと共に、祭りの形も変化してきました。

大河ドラマでフィーバー!由布姫の物語

小坂観音院といえば、武田信玄の側室・由布姫の供養塔があることで知られています。味澤さんは、この由布姫にまつわる歴史を教えてくれました。

味澤さん: 「ほら、由布姫の供養塔があってね、武田信玄の側室。今、ここに骨はないんですけど。実は湖衣姫っていう名前もあってね。小説が2本出て。井上先生と新田先生と。大河ドラマも“武田信玄”(1988年)と“風林火山”(2007年)ってあったんですよ。」

“武田信玄の側室”について、その本名は残されておらず、小説や大河ドラマで「由布姫」や「湖衣姫」という名前が付けられたのだといいます。

大河ドラマ「武田信玄」の際には、観光バスが押し寄せ、小坂公園が観光地として整備されるきっかけになったとのこと。

Q: その時に初めて、観光地として整備された感じですか?

味澤さん: 「そうだねえ。武田信玄の時に、観光地みたいになって。風林火山の時に、あじさい祭りが始まって。ちゃんとした委員を立ち上げた感じ。」

やはり、大河ドラマの影響は大きかったようです。

地域で守り育てるあじさい

小坂公園は岡谷市の所有ですが、その管理は小坂区の皆さんが行っています。

味澤さん: 「各町内から5名程度、20名くらいの委員をね。20人くらいで、草刈りと整備をやってるんですよ。」

あじさい祭り開催前の6月14日には、区民全員にボランティアを募り、枝払いや草取りを行いました。

当日は約30名もの地区の皆さんが集まり、慣れた手つきでビーバーを使って草を刈ったり、枯れた古枝を丁寧に手作業で取り除いたりしていました。
皆で声を掛け合いながら、3時間にも及ぶ作業を黙々とこなす姿は、まさに地域一体となって公園を美しく守り育てる、その熱い想いが伝わってくるようでした。

地道な作業ですが、こうした地域の人々の手によって、毎年美しい紫陽花が咲き誇るのです。地区の皆さんの協力なしでは、美しい紫陽花畑の維持はあり得ません。

個性豊かな紫陽花の表情と見どころ

小坂公園には、主に二種類の紫陽花が植えられています。

Q: 紫陽花にも種類があるんですね。

味澤さん: 「そうそう。(指さしながら)これが普通のセイヨウアジサイ。で、こっから下が霧島の恵かな。」

味澤さんによると、あじさいが古くなって一斉に枯れてしまうことを防ぐために、「霧島の恵」という寒さに強い品種も導入したそうです。

また、紫陽花の色は土壌のpHによって色が変わります。小坂公園の紫陽花はほとんどが美しい青色に咲き誇ります。

味澤さん: 「そうそう、ここはほとんど青系ですね。赤系は無くて。白もちょっとだけあるんだけど。」

この美しい青い紫陽花が、諏訪湖の青い水面と空に映える景色は、まさに小坂公園ならではの絶景です。

未来へ繋ぐ、地域の「バトン」

味澤さんのお話から、小坂観音院 由布姫あじさい祭りが、歴史と地域の人々の強い結びつきによって支えられていることがよく分かりました。

かつて観光フィーバーを巻き起こし、今もなお地域の人々の手で大切に守られているこの場所は、まさに岡谷市湊の歴史と文化、そして地域愛の象徴と言えるでしょう。